タフティングで作ったラグにトリマーを使ってカービング技術をラグに施している様子

タフティングのカービング技術:初心者向け基本テクニックと5つのポイント

こんにちは。大阪でタフティングの専門店としてワークショップと機材・資材の販売をしているTufting studio & shop RUGMATAG(ラグマタグ)の店長のクリスです。タフティング作品の色と色の境目がぼやけて、デザインの輪郭がはっきりしないと感じたことはありませんか?今回はそんな時にピッタリなカービングの基本テクニックについてご紹介します。

カービングで広がるタフティング表現の可能性

カービングとは、トリマーを使って色と色の境目を彫り、デザインをくっきり際立たせる技法です。このテクニックを身につければ、タフティング作品の表現の幅を広げることができます。

カービングを施すことで色の境目がはっきりし、平面的だった作品に立体感が生まれます。少し離れた場所から眺めても美しいコントラストが楽しめるため、作品の印象を大きく変えることができます。

デザインによっては柔らかい印象を残すために敢えてカービングをしない選択もありますが、多くの場合はカービングによって作品の完成度が高まります。今回は初心者の方でも実践できる、カービングの基本テクニックを5つのポイントに分けてご紹介していきます。

必要な道具と準備

効果的なカービングのためには適切な道具を準備することが大切です。まずは以下の基本道具を揃えてみましょう。

1.  プラスチック製の分離棒

カービングで使用するプラスチック製の分離棒

色の境目をはっきり分けるのに使います(コームの細い柄の部分が手軽に準備できてオススメです)

2. トリマー

カービングに使用するトリマー

カービング作業の主役となる道具です

3. 作業スペース

カービング作業のためにラグを自由に回転させられる十分な広さの机

ラグを自由に回転させられる十分な広さを確保しましょう

4. 集塵機

カービング作業で発生する毛くずを吸い取るための集塵機

作業中は毛くずが多く出るため、吸い込まないように注意が必要です。作業時には集塵機を使って毛くずを吸い取りながら進めるのがおすすめです。

※掃除機で代用することも可能ですが、細かい毛くずが原因でモーターやフィルターが詰まり、故障につながる可能性があるためご注意ください。

5. 休憩時間を考慮したスケジュール

カービング作業で時間を確認するための時計

トリマーは使用中に熱くなるので、適度に休憩を入れることをオススメします

作業を始める前に、十分な明るさのある場所を選んでラグ全体が見渡せるように準備してください。長時間の作業になることもあるため、疲れすぎないように定期的に休憩を取る計画も立てておくとスムーズに進みます。

カービングの5つのポイント

ポイント1:色と色の境目を分ける

完成しているラグの毛糸の境界線をプラスチック製の分離棒で分ける様子

カービングは色と色の境目をはっきりと分けることから始まります。まずはプラスチック製の細い棒を使って境目に沿って毛を分けていきましょう。

指で直接分けるより、この道具を使うと正確できれいな境目ができます。境目がはっきりすると次のトリマー作業がとても楽になりますので、この工程は焦らず丁寧に行うのがコツです。

ポイント2:境目にトリマーの刃を入れる

毛糸の境目にトリマーの刃を入れます。

境目を分けたら、いよいよトリマーを使ったカービングに移ります。トリマーの刃先を境目に沿って入れます。

ここで大事なのは、刃を垂直ではなく少し角度をつけて入れることです。次のステップでV字カットを作る準備として、この角度が重要になります。トリマーはしっかりと握り、安定した手の動きで作業ができるようにしましょう。

ポイント3:刃を傾けてV字カットを作る

次に、V字カットを作っていきましょう。この工程をきちんと行うと、色と色の境目が際立ち、デザインをきれいに浮かび上がらせることができます。

片側の境目から削っていきます。

まずはトリマーの刃を片側に傾けて境目の一方から彫っていきます。

反対側も削ってV字を作ります。

次に反対側も同じように刃を傾けて彫ると、きれいなV字型の溝ができあがります。

V字に削った毛糸を斜めから見て確認します。

一度でうまくいかない場合はもう一度立ち上げます。

もし一度で綺麗に分かれなかったら、もう一度境目の毛を立ち上げて分け直してから再チャレンジしてみてください。

最後に余分な毛を取り除く

最後に立ち上がった余分な毛を取り除くと、よりシャープなラインになります。

両側から均等に彫ることでバランスの取れたV字カットができ、デザインの輪郭がくっきり明確になります。

初めての方は短い区間から始めて、徐々に慣れていくと良いでしょう。

ポイント4:境目が最も低くなるようにする

境目が最も低くなっているか斜めから確認

きれいなカービングのポイントは、色の境目部分を周囲より低くすることです。これで色の区別がさらにはっきりします。

境目を低くすると光の当たり方で影ができて、デザインに立体感が生まれます。深さは均一になるよう心がけ、部分的に深すぎたり浅すぎたりしないように気をつけましょう。時々斜めから見て、境目の深さが適切かチェックしながら進めるのがオススメです。

ポイント5:全体のフォルムを整える

最後に余分な毛を取り除く

すべての境目のカービングが終わったら、全体のバランスを見ながら最終調整をします。少し離れた位置からラグ全体を眺めて、気になる部分がないか確認してみましょう。

以下の手順で作業を行うと効果的です:

  1. 少し離れた位置から全体のバランスを確認する
  2. 気になる箇所を必要に応じて微調整する
  3. 曲線部分などデザイン的に重要な箇所は丁寧に調整する
  4. 全体のバランスが整うまでこの工程を繰り返す

この最終調整をしっかり行うことで、より洗練された印象の作品に仕上がります。

きれいな仕上がりを実現するコツ

さらに仕上がりの質を高めるためのコツもご紹介します。

  1. ラグを常に作業しやすい角度に回転させながら進める。 これだけで作業効率も上がります。また、トリマーは使っているうちに持ち手が熱くなってくるので、適度に休憩を取りながら作業するのがオススメです。
  2. 作業中は定期的に離れた位置から全体を見渡す。 近くで見すぎると細部にこだわりすぎて全体のバランスを見失うことがあります。そして一度にすべてを完璧にしようとせず、まず全体を軽くカービングしてから細部を整えていく段階的なアプローチも効果的です。

これらのコツを意識するとよりきれいな仕上がりになります。ぜひ試してみてくださいね。

ビフォーアフター:カービングの効果

カービングの効果を実感するために、施工前と施工後を比べてみましょう。

カービング前は色の境目がぼんやりしている

カービング前のラグは色の境目がぼんやりしていて、デザインの輪郭もはっきりしません。色同士が混ざり合って見えるため、せっかくの複雑なデザインも活かしきれていません。

カービング後は色の境目がはっきりします

一方、カービング後のラグは境目がくっきり分かれて、各色が明確に区別されています。デザインの細部まではっきりと表現され、立体感のある美しい仕上がりに見えます。離れた場所から見ても輪郭がはっきり認識でき、表現に幅が出た印象になります。

カービングをすることで、タフティングラグのデザイン性がさらに良くなる事がわかります。

まとめ:効果的なカービングのポイント

いかがだったでしょうか?今回ご紹介したカービングを施せば、タフティング作品のクオリティをさらに良いものにすることができるはずです。

最後にカービングの5つのポイントをおさらいしましょう:

  1. まずは色の境目をプラスチック棒でしっかり分ける
  2. 次に境目にトリマーの刃を入れる
  3. 刃を傾けて両側からV字カットを作る
  4. 境目部分を周囲より低くする
  5. 最後に全体のバランスを見ながら調整する

カービングは練習を重ねるほど上達するテクニックです。はじめは時間がかかるかもしれませんが、繰り返し練習することでだんだんスピードも精度も上がっていきます。

基本をマスターしたら、ぜひ複雑なデザインでのカービングや素材に応じた技術など、より高度なテクニックにもチャレンジしてみてくださいね。きっと作品がさらに魅力的になるはずです。

今回紹介したカービングのテクニックはYouTubeで動画で見ることもできますのでチェックしてみてくださいね。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございます。この記事がタフティング作品のカービング技術向上にお役立ていただければ嬉しいです。もしよろしければ、コメント欄で感想や質問をお寄せください。みなさんのご意見をお待ちしています。

RUGMATAGではタフティングの技術や魅力を伝える記事を定期的に更新しています。メールマガジンにご登録いただくと、新着記事のお知らせをいち早くお届けします。今後のタフティング作品づくりの参考にしていただければ幸いです。

これからも皆さんのタフティング制作をサポートできるよう、役立つ情報を発信していきます。次回の記事もどうぞお楽しみに。

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