Tufter's Voice#02|Kukka Tanssi(クッカタンシ)
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タフティングを続ける人の、リアルな声。
Tufter's Voice #02
タフティングを趣味や仕事で続ける方に聞く、インタビューシリーズ。
第二回目のゲストは Kukka Tanssi(クッカタンシ)さんです。

私たちRUGMATAGがKukkaさんを知ったのは、2023年にRUGMATAGが開催したコンテストに参加してくださったのがきっかけでした。
「AUTUMN TUFTING CONTEST」では、絵本のようにページをめくれる作品 「クジラの冒険」で、 見事 クリエイティブラグ賞 を受賞されています。

タフティングではプロジェクターでデザインを転写する方も多い中、Kukkaさんの作品は 基布にフリーハンドで繊細な絵柄を描き、そのまま“描くように”打ち込んでいくところが大きな魅力だと感じています。

今回はそんなKukka Tanssiさんに、始めたきっかけ/制作環境/タフティングで変わったことまで伺いました。
自己紹介
活動名/地域
Kukka Tanssi/三重
今の活動
作品の展示/販売
普段のお仕事
会社員・並行して個人事業主としてタフティング作家をしています
制作やワークショップなどの頻度
基本的には毎日制作しています。一度の展示・販売会に向けて20~50作品ほどを目標にしています。
Instagram: @kukka_tanssi

作品や活動のスタイルやテーマ
糸の種類や色にこだわり、世界に一枚の表情を持たせることを大切にしています。制作の背景には私の物語がありますが、それがすべてではありません。手にとった方の想像力が重なることで、新しい物語が始まるような作品を届けていきたいです。



はじめの一歩
はじめたきっかけ
私の制作の原点は、幼稚園の頃に通った絵画教室の先生との出会いにあります。 物の見方、表現の面白さ、自由さや不自由さ、先生の話すことが心にすっと沁みこんで、 表現することや物を作ることが、私にとって人生で欠かせないものになりました。 本を読むことも好きで、自分の中に積み重なった言葉や情景が、私自身の色彩感覚や質感のベースになっていると思います。 大学では児童文学を専攻し、いつか絵本制作をしたいと思っていました。 2022年に初めてタフティングの制作過程を見た時、この技法で物語を形にしてみたいという気持ちが強く湧き、すぐに機材を購入しました。 ラグは好きでしたが、タフティングに何か特別な想いがあったわけでもなく、今思えば縁に導かれるような感覚でした。
最初の作品
一番最初に作ったのは35㎝角のチェアラグでした。当時まだ近くにはタフティングを習う場所が無く独学で始めたのですが、 勢いで購入したので機材が届いても布の張り方、糸の選び方、打ち込み方の正解、なにもわからず途方にくれました。 YouTubeやnoteなどで紹介してくださっている方々の動画や記事などを探す日々でした。 試行錯誤しながら一枚のラグができた時本当にうれしくて、今でも車に敷いて使っています。 打ち込む側から見える裏面の刺繍の線や色と、表面とでは見え方にかなり違いが生まれることや、毛糸が想像以上に消費されることにも最初は戸惑いましたが、 訓練を積むことでしか自由な表現は手に入らないと思い、とにかく毎日ガンで打ち込み続けました。


初期費用と最初に揃えたもの
最初に購入したのは、タフティング専門店で販売していたタフティングガン(AK-1)、毛糸5本、糊、バリカン、糸巻が入ったスターターセットで、6万円くらいだったと思います。 木枠はホームセンターで木材などを買い、5000円くらい。その他に、糊を攪拌させるためのミキサーやボウル、糊を塗るための刷毛や鋏などこまごましたものを1万円くらいで揃えたので、 合計で7~8万円くらいが初期費用として必要だったと思います。

作業環境・不安と対策
作業場所
自宅の一室を作業部屋にしています。6畳ほどの部屋にフレームを固定するための土台を置き、フレームを土台と天井にある梁で固定して、 ガンを強く押し当てても揺れないように工夫しています。大きな作品を作るときはそれに合わせてフレームを乗せ換えて、制作します。 私はかなり多くの色の毛糸を使うので、糸はぱっと選べる位置に収納しています。全てコーン巻のラグ用毛糸に変えてからは、糸を立たせることができるので、収納しやすくなりました。 ただ、もう少し大きな作品にも挑戦したいので、やはり手狭にはなってきました。アトリエを持つことが今の一番の目標です。

音の感じ方と対策
タフティングの打ち込み作業に関しては、ミシンの音を一回り大きくしたくらいかなという体感ですが、 糊の攪拌する音や、掃除機を使いながらのバリカン作業など、音を出す作業が続くことにも気を付けなければと思います。 音を出すときは周りにいる家族はもちろん、おそらく自身にも疲れがたまると思うので、イヤホンをしたりして音を聞き続けないようにしています。
はじめる前の不安と実際どうだったか
始める前はあまり不安はありませんでした。絶対に楽しめると思っていましたし、どんなに難しくても思うような作品ができるまでは絶対に続けると決めていました。 始めてから今日までずっと、制作の時間は今もずっと楽しいです。展示会の前などは無理してしまうこともあり、身体が悲鳴をあげることはありますが、表現できる幸せがずっと上回っています。
ただ、この制作を続けていくためには制作だけをやるわけにはいかず、作品を知ってもらうための工夫や、購入していただいた後にも満足していただけるクオリティを追求していくことはもちろん、 自分の作品で大切にしたいことは何か、というビジョンを明確に持つことも必要だと思っています。 私も始めてからしばらくは、糸の消費量や資材の質で変化する仕入の費用で悩みました。
今では、販売価格が少し高くなってもできるだけ長く傍に置いていただける作品を目指し、資材にこだわって制作していますが、ここに行きつくまでに、 お店の方々にも相談にのっていただきながら、試行錯誤をし、自分のスタイルが決まっていきました。


タフティングで変わったこと
タフティングをやって一番良かったこと/嬉しかった瞬間
タフティングを始めてからたくさん作品を作ってきましたが、『海のお祭り』という玄関マットサイズの作品が完成した時、 これが私が作っていきたいラグだ、と思いました。


プロジェクターも使っておらず、布に直接絵を描いてその時その時使いたい色を選んで打ち込んでいくので、もう一枚全く同じ作品は作れません。 けれど、せっかく人が手で作るのだからそれも面白いなと思ったのです。私にしか表現できない物語を含んだラグでした。

そのラグを購入してくださったご家族がとても気に入ってくださり、仕事から帰ってきて玄関であの作品を見るとうれしくなる、と感想をくださったのです。 『海のお祭り』ラグが完成して、その後そのラグが誰かを少し幸せにできたこと、この時の気持ちを原動力に今も制作を続けています。
つくったラグはどうしてますか?(自分用/プレゼント/販売など)
作ったラグは基本的には全て販売しています。今は制作時間が足らないと感じていて、なかなか自分用に作れないのですが、 もう少し制作に時間を割けるようになったら、作ってみたい作品がたくさんあるので、いずれ家の中のいろんな場所がKukka Tanssiのラグまみれになると思います。
タフティングをはじめてからの“自分の変化”
変化はたくさんあります。まずは、どこで何をしていても、心に響くことがあるとこれを何か作品に落とし込めないか、と考えるようになったことです。 あらゆるカーペットや絨毯の柄を見るようにもなりましたし、どんな資材を使っているのか、というのも気になるようになりました。 とにかく、どんな作品を作るか、ということをどこか頭の隅でずーっと考えているような感覚です。 夢の中でこれは!という絵が浮かんで、慌てて夜中に携帯にメモしたりすることもあり、作りたい作品が増えていきます。

もう一つは、人との関わり方が変わりました。タフティングを始めてから、制作をすることと、作品を知ってもらうこと、販売すること、それぞれ違う自分が違う場所で活動していると感じています。 本来なら、アトリエに籠ってずっと制作だけをしていたいと思っていました。けれど、それでは制作自体続けていけません。 受け身だった自分を変えなくてはと思い、あえて自分から飛び込んでいく、ということもするようになりました。 飛び込んだ先で、本当に色んな方に出会い、そのご縁でここまで制作を続けてこれました。
このお話をくださったRUGMATAGさんも、飛び込んだ私をいつでも優しく受け入れ、一緒に考えてくださいます。 現在は「アトリエぷくぷく」というオンラインアトリエにも参加し、様々なジャンルや環境で制作と向き合う方々を知り、視野を広げています。 変わりたい、と思っていたわけではないですが、タフティングを始めてから少しずつ、そういう変化も楽しめるようになりました。
これから
これから挑戦したい作品/活動
タフティングを始めて、海のお祭りという作品が完成した後、必ず形にしようと思っていた『絵本ラグ』の制作にとりかかり、現段階で2作品制作しました。


大好きな絵本の中に、『たろうのひっこし』(村山 桂子 作・堀内 誠一 絵)という作品があります。自分の部屋がほしいたろうくんは、お母さんにもらった赤い絨毯を敷いて、そこを自分の部屋とします。 しかし、出会う動物たちから次々に要望が飛び出し、窓ぎわ、庭先、と引っ越しを繰り返すのです。絨毯を敷いた場所がその時々で最高の居場所になる、このことが私をとてもわくわくさせました。
私が作るラグも、こんな風に特別な居場所を作るアイテムになったらいいなと思い、『絵本ラグ』を作っています。
ラグをその時々で好きな場所に敷いて、ごろんと寝転がって本を広げて没頭したり、転寝をしたり。そんな時間が必要だということを思い出させてくれるラグです。
子供たちはもちろん、大人にこそ使ってほしいラグだと思っています。この絵本ラグはKukka Tanssiの軸として、今後も作り続けていきたいと思っています。

これからタフティングを始めたい人へひとこと!
全国各地でタフティングを体験できるお店が増えました。まずはお試しで一度、作ってみることもできます。やってみることでわかる楽しさや難しさがあり、それを体感するだけでも少し世界が広がります。
何より、自分で作った作品は本当に愛しいです。誰かのために作るのもいいと思います。 今は毛糸も道具もタフティング専門ショップでなんでも揃うようになり、選択肢も増えています。 RUGMATAGさんでは体験コースからプロになるための育成コースまで幅広くワークショップを行っていますし、本当に気さくに教えてくださいます。 興味があればぜひ一度訪れてみてください。タフティング、楽しいです!

Kukka Tanssi WEBサイト
https://kukkatanssi.base.shop/RUGMATAGは、タフティングを楽しく快適に続ける人が増える活動に注力しています。
Tufter's Voice は、タフティングを始めたい人にとっての「具体的なイメージ」となり、 出演者の方の作品・活動の紹介にもつながるコンテンツを目指しています。